ROKU's Daily Life

あんなことやこんなこと

『Carver's Dozen レイモンド・カーヴァー傑作選』

だいたい文学というものからずいぶん遠ざかっていたし、しかもアメリカ文学ときたらマーク・トゥエインとかO.ヘンリぐらいしか知らないので、レビューなんておこがましいもいいとこなのだけれど。

『大聖堂』は、他の作品とは訳文のタッチが変えてあるようだ。それにしてもさすがに傑作と評されるだけあって読み終えたあと大きなため息をついてしまった。

いつのまにか主人公に同化して大聖堂を"感じて"いた。私は建築を生業としている者であるけれど、こんなふうに建築を"感じる"ことができるなんて夢にも思っていなかった。

 

 『ささやかだけれど、役にたつこと』は、小学生の息子を持つ私にとって、読み進めるのが辛いストーリーだった。登場人物は大げさに慟哭したり嘆いたりするわけではない。しかしその悲しみがひしひしと胸に迫ってくる。そして最後の、まるで暗雲の切れ間から日差しが射すような、静かで暖かな救い。

 

淡い秋の日を感じさせるようなカーヴァーの文章は、どんな阿呆でも絶対間違えないように書かれたマニュアルかさもなくば粘膜をタワシで擦るような刺激的な文章ばかりがはびこる現代には、なかなか受け入れられ難いのかも知れないと思う。

 

だけど、読み終えてから1週間も経つのに、その印象が心から消えていない。そのことだけは、これを読んでいる人にぜひとも伝えたい。

 

Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選 (中公文庫)

Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選 (中公文庫)